適材適所は従業員の個性を知ることから始まる
「職人として一番技量が高く、毎日いきいきと仕事に取り組み、勤続年数も長い従業員を高給与でリーダーに抜擢し、他の職人のマネージメントや教育を任せたところ疲弊して短期間で退職してしまった」といった事例はよくあることですが、優れたプレイヤーが優れたマネージャーとは限らないので当然です。
会社には実に様々な個性や特性を持った人材が存在します。
- 一つのことに集中すると凄い力を発揮する反面、一度に複数のことを処理するのが苦手な人
- 自己に与えられた業務は、迅速性・正確性ともに高いレベルで遂行できる反面、他者と協力して何かを進めることが苦手ですぐに不協和音を奏でてしまう人
- フットワークが軽く、人当たりが良く、細かいことを気にしない性格で、飛び込み営業や電話営業では誰もが目を引く成績を収める反面、日々根気よく何時間も細かい作業に集中する必要のある事務職では全く戦力にならない人
こうした従業員の個性や特性(ここでは業務に対する適性)を十分に踏まえたうえで配置すれば、労働生産性が飛躍的に高まりますし、逆であれば冒頭のような悲劇をおこしてしまいます。
また、どのような教育をすれば成長するか、どのような処遇によりモチベートされるかといったことも当該従業員により大きく異なります。
まずは客観的・科学的データに基づいて、自社の各人材の個性や特性を正確に把握することが大切です。
こうしたお話をすると「わが社は従業員数が少なく、経営者である自分と各従業員の距離も近く、私は各従業員の個性や特性をよく分かっている」とおっしゃる経営者が少なくありませんが、果たしてそうでしょうか?個性や特性というものは、自分自身ですら正確に把握するのは至難です。
経営者の勘のみに頼って当該従業員の業務に対する適性を見極める時代は終わっています。
いまや人材診断ツールは人事・労務管理における必須ツールであると言えます。