キャリア自律と社員教育・人材育成

キャリア自律と社員教育・人材育成

会社に告げる退職理由はともかく、本当は、「この会社にいても成長できるとは思えない」という理由で退職する者が明らかに増えています。

やる気があり優秀な従業員ほどこの傾向が強く、今後もこの流れは加速していくものと考えられます。

何故でしょうか?

雇用の流動化が進み、終身雇用が崩壊していることは今さら言うまでもありません。特に若い新入社員が、「定年までの数十年間、この会社で勤め上げたい」「自分の職業人生をこの会社に捧げたい」と考えていることは極めて稀になっているのが現実です。

終身雇用を前提とした社会では、従業員にとって、「会社理念の腹落ち」や「職業人としての自己の成長」より、「自分の方が当該会社に溶け込むこと」「当該会社の中でいかに出世できるか」といったことが重要でした。

雇用の流動化が進んだ社会では、従業員にとって、「自分のキャリア人生において、当該会社で働くことはどのような意義があるのか」ということが非常に重要となります。

換言すると、「この会社は従業員のことをどのように考えているのか(使い捨ての駒か、大切に育てるべき人材か)」「この会社で働くと職業人としてどのように成長できるのか(退職した際、転職先や独立しても通用する職業人となっているか)」ということです。

そして従業員は、これらのことを当該会社の社員教育や人材育成のあり方を見て判断します。

たとえ中小企業であっても、系統だった社員教育や人材育成のシステムが皆無であれば、従業員はその会社を冷めた目で見ているものです。

そうなれば、優秀な人材の獲得や定着、人材活用による労働生産性の向上など、望むべくも叶いません。

自社なりの系統だった社員教育や人材育成のシステムを備えることは、必須の経営課題であると言えます。